AIに、自分の一年分の相場分析を採点させてみた ―― WAVE RESEARCH 2025年次評価

AIに、自分の一年分の相場分析を採点させてみた ―― WAVE RESEARCH 2025年次評価

筆者(たていしまさお)は2025年の一年間、日経平均株価を ネオウェーブ理論(エリオット波動を整備拡張した波動分析)と サイクル分析(相場の上げ下げの周期を時間軸で測る手法)の二本柱で読み解く週次レポートを書き続けた。総数116本。

その全記事を、第三者のAI(Claude)に丸ごと預け、忖度なしで採点させた。書き手が自分の答案を外部の機械にそのまま差し出し、冷たい判定を受ける――この構図を毎年末の定例企画として残すための、初年度の試みである。

以下はAIによる採点結果の報告である(文責は、結果を編集した筆者にある)。


目次

この採点について(前提の3点)

何を測り、何を測っていないかを先に確定しておく。

  1. 波のカウントが理論的に正しかったかは判定しない。 ネオウェーブの波動ラベルが理論的に妥当だったかの最終判断は書き手の領分であり、AIの管轄外とする。AIが裁けるのは (1) その時点の情報で筋が通っていたか(内部整合性)(2) 予測が実際に当たったか の二点に限る。
  2. 後知恵で裁かない。 「結果」と「論理」を分けて見る。予見不能な急変で外したが推論は健全だった例と、雑な分析がたまたま当たった例は、別物として扱う。
  3. 信頼度のキャリブレーションは対象外。 2025年の記事は「どのシナリオをどれだけ確信していたか」を明示していない(構造化テンプレートは2026年から)。よって「自信のある予測ほど当たったか」の検証は来年に回す。価格データ(日経平均の日次四本値)は所与とし、独立検証はしない。

採点は 四観点 × A〜Eの五段階方向性(上げ/下げ)、転換点タイミング(予告した山・谷が実際に何日以内に出たか)、目標値到達度(示した価格水準への到達)、論理の堅牢性(結果と独立に筋が通っていたか)。波動・サイクルは中期の構造予測として、短信(速報)は短期反応として、別の物差しにかけた。全116本(波動62・サイクル52・短信2)は要約表ではなく本文まで精読し、地の文に溶け込んだ予測や条件・反証ラインまで拾って採点している。


1. 年間サマリー ―― 総合グレードは「B」

系統本数方向性転換点タイミング目標値到達度論理の堅牢性
波動分析62B (3.74)B (3.66)C (3.24)B (4.40)
サイクル分析52B (3.69)B (4.00)C (3.04)A (4.56)
短信(速報)2BBA
総合116B (3.72)B (3.82)C (3.15)B (4.47)

(カッコ内は5点満点換算の平均。A=5〜E=1)

判定は明快だ。この一年の分析は「底に強く、天井に弱い」。 相場の谷を捉える精度と推論の堅牢性が強み、大相場の転換点を一段早く宣言する癖と価格目標の希薄さが弱み。論理の堅牢性は四観点で突出して高く(A評価57本、C以下はわずか2本、D・Eはゼロ)、なかでもサイクル分析は単独でA(4.56)。逆に目標値はもっとも振るわない(94本がC)――時間は語るが値段を語らない、という書き手の癖が数字に出ている。なお、論理だけは価格で検証できない主観評価で、この点の扱いは5章で改めて述べる。

2025年の日経平均は波乱の年だった。1月に40,288円をつけたのち崩れ、4月7日に30,792円の大底(トランプ関税ショック)。そこから反転して夏以降は青天井、10月31日に52,411円、11月4日に52,636円の年間高値をつけ、年末は5万円前後で調整した。年間で見れば「H1に底、H2に天井」という、めったにない一方向の大相場である。

的中(◎)と誤り(✕)を価格チャート上に落とすと、強みと弱みの非対称が一目で出る。

緑の◎は相場のに、赤の✕は大相場の転換の手前に集まる。これがこの一年の通信簿である。


2. ベスト/ワーストコール一覧

◎ ベストコール

局面コール結果該当記事(観点別グレード)
4/7 大底「4月第2週が下げ止まりの限界」「30792は四つの周期の複合ボトム」年間大底を時間と構造で同時射抜き波動04-06(方向A/転換A)・サイクル04-13(転換A/論理A)
6/30 40,852「前年高値40,398超の公算は非常に大きい」6/30に達成、中期強気を確定サイクル06-28(方向A/目標A)
③④7/14・10/1中期の谷(MCボトム)を予告7/14・10/1の押し目底と一致サイクル07-19・10-05(転換A)
11/4 年間天井「上昇の最終波は終点に近い/終了」翌日の年間天井をほぼ即捕捉波動11-03・11-09(転換A)

✕ ワーストコール

局面コール結果該当記事(観点別グレード)
暴落直前「新規サイクル開始/3〜4ヶ月の上昇局面か」2週間後に4月暴落波動03-23・サイクル03-15(方向D)
10月「PCと36週が天井をつけた」(48,597で天井示唆)+8%の急騰が続き天井誤認サイクル10-11(方向D)
年間観「2025は上半期高値・下半期安値」上下が反転(H1に底、H2に天井)サイクル01-04(方向D)

3. ベストコール ―― 谷を、二つの手法で同時に射抜いた

この一年で最も冴えたのは、4月暴落の「底」をピンポイントで当てたことだ。ここから内容は少し専門的になる。

  • 波動分析(4月6日付) は、進行中のパターン(似た大きさの波が9つ並ぶ保ち合い)の時間配分から、「最終波が伸びるとすれば4月第2週が限界」 と書いた。実際の底はまさに4月第2週の初日 4月7日。翌週以降も下げ続ければ見立てを撤回する、という反証条件まで添えてある。
  • サイクル分析(4月13日付) は、その30,792円を 「PC・36週・22ヶ月・66ヶ月という四つの周期の谷が同時に来る複合ボトム」 と位置づけた。複数周期の谷がこの一点に重なるという論証は精緻で、結果としてこれが年間の大底になった。

別々の手法が、同じ一点を別の理屈で射抜いた。偶然ではなく、相互検証が機能した結果である。サイクル分析はさらに、戻り相場で 「40,398円超えの公算は非常に大きい」(6月28日付)→6月30日に40,852円で達成、中期の谷も 5月22日・7月14日・10月1日 と当て続けた。この谷の連続的中が、サイクル分析の転換点スコアをB(4.00)に保っている。年間天井も、11月3日付「上昇の最終波は終点に近い」→翌4日に52,636円11月9日付「上昇波は終了」 と、終盤の山は正確に押さえた。


4. ワーストコール ―― 「転換を一段早く宣言する」癖

最大の減点は、大相場の節目で転換を早まって宣言する 傾向だ。皮肉にも、これは「底に強い」長所と同じコインの裏表である。

暴落直前の強気(3月)

3月15日・3月23日付は、4月暴落のわずか2週間前に「新規サイクル開始」「3〜4ヶ月の上昇局面か」と強気へ振れた。3月11日の安値(35,987円)を底と決めつけ、40,398円を目指す絵を描いた――底打ちを一段早く見たのが、直後の急落で裏目に出た(方向D)。もっともサイクル分析は同時期、「35,987円を割れて遅くとも6月初めまでに次の底へ」という下振れシナリオを併記してもいた。主筋は早すぎたが、逃げ道は用意してあった。

最も踏み込んだ誤り:10月11日「PCと36週サイクルが天井をつけたか」

10月、サイクル分析は48,597円(10月9日高値)をもって天井を疑い、下落局面入りを想定した。相場はそこから +8%、10月31日の52,411円まで一気に駆け上がった。年間で方向性が最も外れた一本である(評価D)。

ただし論理は破綻していない(論理B)。上昇チャネル上限への接触、最後のメジャーサイクルが「上げより下げが長くなりやすい」こと――いずれも当時の情報からは筋の通った警戒だった。健全な推論が、想定を超える メルトアップ(最終局面の急騰) に呑まれた。見出しも「天井をつけた」と問いの形で、確認条件(44,357円割れ)を付し、天井形成の時間帯として挙げた「10月末〜12月末」には11月4日の本当の天井が収まっている。踏み込みすぎたが、的を外しきってはいない。 だから評価はEでなくDに留めた。

表層は強気、中身は慎重 ―― 2月の二層構造

採点で一つ、表と裏が食い違う箇所があった。2月の波動分析は、記事冒頭の要約表だけを追えば「40,279円超えで完了」という強気条件を5週続けて掲げており、下落相場に背を向けているように映る。だが本文は別物だ。2月13日付は「この反発はB波、次はC波の下げに注意」、20日付は「目先は下げが優勢」、下旬は「サポートライン割れ→37,600円水準へ」と、2月末の36,840円への下落をおおむね正しく追っている。冒頭表に置いた標準シグナルと、本文の現状認識は別物として読まねばならない。 表層は強気、中身は慎重――この二層構造は波動分析全体に通底しており、要約だけで断ずれば評価を誤る。本文まで読めば、2月は波動・サイクルともに慎重で、下落をほぼ捉えていた。


5. 結果と論理が分かれる瞬間 ―― この採点の核心

この企画の主眼は、当たり外れと論理の良し悪しが一致しない点を切り分けることにある。

AIが最も高く評価したのは、書き手が自分で「反証ライン」を引いていたことだ。4月20日〜5月4日の波動分析は、「(D)波の調整完了を確認するには 39,370円超えが必要。達成されなければパターン解釈を再検討する」と明記した。39,370円は5月中も6月中も未達。ゆえに書き手は「上昇開始は未確認」と保留し続けた。これは当落では測れない。自分の主張が否定される条件を先に公言する――予測の作法として満点に近い。サイクル分析も年間を通じ「強気・弱気を発動条件つきで併記」する規律を崩さなかった。これが論理スコアをA(4.56)まで押し上げた。

逆の例もある。3月29日付のサイクル分析は、暴落シナリオを記述しつつ 「優先度は低い」と明記していた。現実には、その低優先度の弱気に近い暴落が起きた。当たったが、本人はそれをメインに据えていなかった。 結果オーライであり、優先度の付け方には課題が残る。

たまたま当たった雑な予測を褒めず、不運で外れた健全な推論を貶めない――この分離を貫けることが、機械に採点させる最大の利点である。

ただし、その機械はほかならぬ採点を依頼された側のAIだ。価格で検証できない「論理」という観点で最も高い点がついた――これは偶然ではないかもしれない。身内が採点すれば、検証できる所では辛く、主観の所では甘くなる。 だから論理スコアは信じなくていい。当落で検証できる方向・転換・目標値こそ信用してほしい。


6. 2026年への宿題

採点から導かれる改善点は四つ。

  • 「終端の伸長」への耐性。 最大の弱点は、相場の最終局面での メルトアップ/延長 を一段早く打ち切ること(10月の天井宣言、暴落直前の底打ち宣言)。「最後の波はしばしば想定を超えて伸びる」という前提を、転換宣言の前に一段組み込むこと。
  • 年初フレームの硬直を断つ。 「2025年は上半期高値・下半期安値」という年初の年間観は、上下が反転して外れた。年間シナリオは羅針盤として有用だが、四半期ごとに明示的に見直す運用に切り替えること。
  • 価格目標を具体化する。 四観点で唯一C評価に沈んだ「目標値到達度」は、価格目標を出さない記事が多いことの裏返し。時間(いつ)に加え値幅(いくら)を明示すれば、当否が検証可能になり、読者の実用にも資する。
  • 信頼度を明示する(導入済み)。 2026年からの構造化テンプレート(信頼度つき複数シナリオ)により、来年版では 「高信頼度の予測ほど当たったか」のキャリブレーション分析 が可能になる。今年できなかった検証が、来年の核になる。

むすび

総合グレードは B。相場の谷を捉える精度と、自ら反証条件を引き強気・弱気を併記する論理の堅牢性が、この一年の評価できる点。たとえば39,370円という反証ラインを先に公言していたこと――これは私の採点ではなく、記事に残った事実として誰でも確認できる。減点は、大相場の節目で転換を早まること、そして価格目標の希薄さ。いずれも来年のテンプレート運用で測定・改善できる、輪郭のはっきりした課題である。

自分の一年分の答案を、まるごと機械に採点させる。相場に絶対はないが、外し方にも誠実さはある。 それを毎年測り続けることが、このレポートの背骨であり続ける。


採点の全データ(116本の観点別スコアと根拠)は別添 採点_2025_全116本.csv に保存。全116本は本文まで精読のうえ採点。本評価はAI(Claude)による第三者採点であり、波動カウントのネオウェーブ理論的妥当性そのものは評価対象外。価格データは日経平均日次四本値(2025年・243営業日)に基づき、水準到達の判定はザラ場高値・安値ベースとした。


この分析が、あなたの相場観の一助になれば幸いです。

WAVE RESEARCHの定期購読では、日経平均株価のネオウェーブ分析とサイクル分析を週次でお届けしています。過去4年・800本超のアーカイブも読み放題です。

目次