日本の株価:1989年までの戦後上昇相場に見られるパターン構造

この記事は2023年5月5日付「日本の株価:今世紀の見通しとその背景としての数百年規模の長期波動」のうち、主に終戦後から1989年までの波動構造について見直しアップデートしたものです。また、エリオット波動分析者に頻繁に見られる、誤ったインパルス解釈についても触れています。

上昇相場(1947~1989年)

日本の株価は1947年まで続いた収縮トライアングル(これはおそらく複合調整の終結部と見られます)をブレイク後、1989年まで42年間にわたって一貫した上昇トレンドを形成しました。ただしこの上昇をエリオット波動のインパルス5波動構造と解釈しようとすると無理が生じます。

誤ったインパルス解釈例

インパルス第1・第3・第5波のいずれか一つがエクステンション(延長)を示さなければなりません(単に五つの波が見えるからインパルスだとはならないのです)。下図を参照していただければ、第1波延長型第5波延長型はそれぞれ特有の形状を見せますので、当てはまらないことがすぐにわかると思います。

すると第3波延長型でしょうか。

そうであれば延長した第3波の内部もまた、さらにいずれかの波(1・3・5)が延長したインパルス「1-2-3-4-5」でなければなりません。

ところがどの波も延長していないのです。むしろ破線ピンクのボックスで示すように、1・3・5がみな均等な値幅で形成されています。そしてとした波も含めて、実は1989年までの上昇は、五つの均等な値幅が連続した構造であったことがわかります。

ちなみに今回のインパルス解釈例は上記も含め多くの誤りを含んでいます。
主立ったところでは

  • エクステンションが存在しない
  • 1・3・5波の内部が調整波(:3)構造
  • 第2波第1波より、第4波第3波よりも時間を消費していないし、複雑化もしていない

が挙げられます。

合理的な解釈

このような上昇は、均等な値幅の調整波ⒶⒸⒺⒼⒾ)が五つ連続したパターン構造です。これに四つのカウンタートレンドⒷⒹⒻⒽ)を合わせ、全体は9波動構造「Ⓐ-Ⓑ-Ⓒ-Ⓓ-Ⓔ-Ⓕ-Ⓖ-Ⓗ-Ⓘ」となり、近年は「シンメトリカルフォーメーション」と呼ばれています。

インパルス構造を備えていないパターンはすべて調整波です。そして調整波はこれまでオーソドックスなエリオット波動ではジグザグフラットトライアングル、そしてそれらがX波を介して連結した複合調整に分類されてきました。しかし現実の相場はこれらでは説明できない構造が存在し、もしくは新たに生まれようとしています。

日本の株価は今回見てきたように、戦後の巨大上昇相場であっても調整波構造で進行してきました。これは我々には未知の超長期波動が何らかの調整波パターンか、あるいはターミナルインパルス(エリオット波動で言うところの「エンディングダイアゴナル」)を形成している可能性を示唆していると考えられるでしょう。

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