第5波フェイラーが生じる原因は何か

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第5波フェイラーの原因は第3波や第4波には存在しない

インパルスは「1-2-3-4-5」の5波動で形成される。このうち最後の第5波第3波の終点を超えることができない現象を「第5波フェイラー」と呼ぶ。

パターン認識の観点からは「第5波フェイラー」は異常事態である。それも極め付きの異常事態と言っていい。通常であれば第3波の終点を超えて展開するはずの第5波がそれを実現できないのだ。

こうした事態が何の理由もなく起こることは決してない。

かといって、たとえば第3波エクステンション(延長)したから、あるいは急激な動きだったから第5波フェイラーになった、などというのもフェイラー発生の理由として適切ではない。なぜなら第3波がエクステンションするのはインパルスとして特別なことではないし、急激な動きとなるのもトレンド方向の波としてはごく当たり前の挙動だからである。

上図では第3波はどちらも急進しエクステンションしている。ではなぜ左の例は第5波フェイラーになり、右の例はならないのか?第5波フェイラーの原因を第3波に求めても、そうした問いには十分に答えられない。そこに答えはないからだ。

では第4波の調整深度の差が第5波フェイラーの原因だろうか? 上図左の例のように第4波の調整が大きくなれば当然第5波にも影響すると思われるだろう。たしかに第4波の調整規模が大きくなると第5波がフェイラーになるケースはある。ところが全く逆に第5波がエクステンションすることもあるのだ。

よって第4波の調整深度(規模)も第5波フェイラーの原因ではない。百歩譲って上図左の例だけを取り出して第4波にフェイラーの原因を求めたとしよう。だがそれは次の疑問を産み出すだけだ。

「なぜ第4波の調整は大きくなったのか?」

第5波フェイラーが生じる原因とフェイラー後の挙動

第5波フェイラーが生じる原因は単純だ。

それは第5波フェイラーを含むインパルスに対する、カウンタートレンドの力があまりにも強力なためである。

つまり、フェイラーを生じた第5波よりも一回り以上大きなディグリーの力によるものだ。第5波と同じディグリーの第3波や第4波がどうこうしたからという話ではないのである。

こうした認識は第5波フェイラー発生後の挙動を定義することにもなる。それは

第5波フェイラーを生じたインパルスは迅速に(インパルス形成に要した時間よりも短い時間で)全戻しされる

というルールである。第5波フェイラーはカウンタートレンドの強大さが原因であり、その後一回り大きなディグリーであるインパルス全体が打ち消されるほどの大変動までがワンセットなのだ。

よって第5波フェイラーと解釈したのにインパルス全体が全戻しされないのであれば、その解釈は誤りである。ましてフェイラー発生後、調整もそこそこにトレンドが再開するなどということはない。もしそうした解釈を認めてしまえばフェイラーというものには何の意味もなくなるし、エリオット波動などという体系も存在しないことになるだろう。チャートに「1」や「A」とラベリングする芸術だというならば話は別だが。

なお第5波フェイラーを含むインパルスが全戻しされたあと、ふたたび第5波終点を超えるためには最低でもインパルス形成に要した時間の二倍以上は必要であるとされている。

第5波がフェイラーとなる条件

以下に挙げるのは第5波フェイラーが生じる「条件」である。決してフェイラーの「原因」ではないことに注意。

第3波がエクステンションを生じている

第4波が第2波より複雑化している

第4波の第3波に対する調整率が、第2波の第1波に対する調整率よりも大きい

第4波の調整は第3波に対して38.2%以上必要であり、61.8%まで考慮される。

フェイラー第5波は時間と価格の双方あるいはいずれかで、第1波と同等か61.8%の関係になる傾向がある

ただし第5波はフェイラーであったとしても第4波の38.2%の値幅は必要とされる。

第5波がフェイラーとなり得るポジション

上でも述べたように、第5波フェイラーは一回り以上大きなディグリーのカウンタートレンドが原因で発生する。そしてフェイラーを含むインパルスは迅速に全戻しされる。

よって以下に挙げる二つのポジションが第5波フェイラーとなり得る位置である。

1) フェイラーを含むインパルス自体がより大きなインパルスの第5波を形成している

2) フェイラーを含むインパルス自体がより大きなc波を形成している

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