オーソドックスなエリオット波動は「ディグリー」の概念がひじょうに脆弱で、「この波はサイクル級だ」とか「グランドスーパーサイクルのⅴ波が…」とか十人十色の使われようで、規範としての体を成していません。
ディグリーを考えるうえで大事なのは、「スーパーサイクル」が何年規模なのかとか何万円規模なのかといった話ではありません。そうした絶対値をこしらえてみても、実際の分析には微塵も寄与しないでしょう。
ディグリーは「階層構造」です。波と波の大きさの関係を定義し、小さなディグリーの波が集まって大きなディグリーの波を作ることを論理化します。「同じディグリー」同士の波が結合することで一回り大きな波が形成されます。隣接する二つの波(または波のグループ、以下同)が結びつくには、お互いが「似た者同士」である必要があります。つまり、ディグリーを考察するにはまず最初に、ある波がほかの波に対して「同等/同質」である、または「同等/同質」でない、という条件を定義しなければなりません。オーソドックスなエリオット波動ではこうした視点が欠落しています。